非触知乳癌
ご投稿有難うございます。
非触知とはしこりを形成しないタイプの乳癌を意味します。非浸潤癌から浸潤癌へ変化した物で、まだしこりを形成していない浸潤癌の物もあります。実際、当院でもいらっしゃいます。しかし、多くの非触知乳癌は、非浸潤癌です。
局所再発の場合は、原発の乳癌が浸潤癌か非浸潤癌であったかによると考えます。また、年齢などにも予後は左右されるでしょう。しかし、浸潤癌で発見されるよりは、非浸潤癌で発見された方が治癒の可能性は高まるでしょう。
通常、非浸潤癌が乳癌の内約10%程度と言われていますが、当院では、非浸潤癌が22.3%でそれを遥かに越えています。つまり、国内では比較的早期で乳癌を多く発見している施設と言う事になり、小さな乳癌を多く見つけられる実績があると言う事になります。逆に取れば、他院が10%程度しか発見出来ていないと言う事は、見逃されている方も多いと言う事になる訳です。この数字は、非浸潤癌で発見された方は予後は明らかに良いので、当院が患者様の生存率上昇に貢献出来た事になります。
当院が目指す事は、非浸潤癌を多く発見し、患者様に乳癌と診断されてもご安心を提供出来るようにしています。ステレオガイド下マンモトーム生検の検査件数が多いのにお気付きかとは思いますが、この検査がこの数字に大きく貢献しています。正直、この検査はデスポの針の業者さんが儲かるだけで、当院は利益がありませんが、少しでも患者様に利益があればと考え行っております。都心のど真ん中で高い家賃を払うのではなく、少し離れた家賃の安い所で行う事により、このような事も可能になるのだと思います。
特に、良く他院で針生検では良性の線維腺腫だけど、このしこりの一部に癌がある可能性があるから摘出すると言う話を聞きますが、線維腺腫は絶対良性で、その一部が癌と言う事はありません。摘出して乳癌の場合は、隣から乳癌が巻き込んでいるか、針生検が全くターゲットを捕らえていないか、病理診断医の誤診です。つまり、線維腺腫を取る場合は、手術ではなく、エコーガイド下マンモトーム生検で十分と言う事になります。傷跡が出来ずに済む訳です。このような努力も大切かと思います。
余談になりますが、最近我々の仲間になった山内先生が、私が行う吸引細胞診と針生検を見て、ターゲットの物の中で一番欲しい部位を良く狙えますねと言われています。1〜3㎜位の部位に刺さるのを不思議に思われたそうです。がんセンター東病院や大学病院に以前居られたので、私は当然かと思っていました。しかし、そこを狙わなければ本当の意味の確定診断が出来ないのではないのかと言い返しました。狙った物は必ず一発で仕留める必要がある訳です。つまり、大病院のように病院名だけで患者様が納得される訳ではありません。我々小規模のクリニックでは、結果を出してこそ、患者様の信頼が得られると考えるからです。
自分の乳癌も、適切な検査と診断のおかげで、発見していただけたのだなと、改めて思いました。
この適切な検査と診断ができる施設を、いかにして知ることが出来るかが、運命の分かれ道の気がします。
こちらのHPに出会えた方は幸せですね。
非浸潤癌でも局所再発はあると聞きます。早期発見できるように、しっかりと検診を受けていきたいと思います。
乳腺症といわれている部分が、とてもこりこりしていて気になっています。マンモと超音波でみてもらっていて、大丈夫ということにはなっています。しかし、型が古い超音波の機械のようです。機械は古くても、診る目がよければ信じてもよいのでしょうか?
ベルガーさんの機械は、最新なのですよね。やっぱりそういう機械のほうが信頼できるのでしょうか?
ベルガーさんではなく、ベルーガ様でした。失礼しました。
ご丁寧なお返事有難うございます。
残念ながら見る目が正しくても、撮影したマンモグラフィのお写真やエコーの画像に写っていなければ、診断は不可能です。某有名な教授が、当クリニックのマンモグラフィの方が、その施設の物より綺麗に撮影出来ていると言う嘆きを聞いた事があります。機械の問題か、技師の問題かは解りませんが、これが現実です。また、当院の新しい医師は、このエコーは恐ろしい程良く見えると言われます。当院に来るまでの検査の診断が正しかったのかと言われています。
過去に私も大学病院や色々の検診施設で診療を行いましたが、満足出来る医療が出来ないと痛感し、自分の手で行う事にしたのです。
これは、国内の保険診療が、乳腺科の行う検査に対して利益率が低い設定となっている為、高い医療機器が購入出来ないから仕方ない事になります。(お役所の方は殆ど男性なので、女性に冷たいとも取れる設定です。)しかし、乳腺の検査は非常に小さな所見が重要な決め手となります。それを、見る為には画質の良い検査機器が必要となり、必然的にグレードの高い検査機器が必要となります。例えば、マンモトームの検査費用は米国では1回30万円程度掛かりますが、日本の保険診療では、3万4千円しか入りません。この設備に2千万円以上掛かり、しかも1回に使い捨てる針などのコストに3万円程度が掛かります。実質1時間程度検査の為に、放射線技師・看護師・医師が立ち会います。つまり、人件費の方が遥かにこの4千円より上回る訳です。また、病理診断は8800円の収入がありますが、全て病理診断医へ支払います。再診料も710円しかありません。特に乳癌と診断された場合はホルモンレセプターの検査が追加になり、2項目追加となりますが、現状の保険では同月では1項目分しか支払われません。この分(7000円程度)は当院の持ち出しです。つまり、赤字検査です。手術を行う施設ならば、他の所でその分は回収可能かもしれませんが、当院のように検査をメインに行う施設にはかなり辛い検査です。当院で118回既に行ったと言う事は検査機器代+118万円以上の赤字が増えた事になります。当然、検査機器は償却されるので、時間と共に価値が下がります。経営を考えるとこの検査を導入はしません。つまり、検査を出来る施設は増えませんし、少し位の乳癌疑いならば検査は見送り、経過観察となります。最終的には、患者様へ不利益が被ることになります。この検査以外にも多くあります。乳腺の診療を行うには実質1人に対し30分程度は要します。これに対して、風邪を診察した場合、殆ど初診なので5分程度で3000円程度の利益が丸儲けとなります。最近、当院も乳腺科がどこまで頑張れるのかが分からないと思ってきました。しかし、小さな癌で見つかって喜んで頂ける時に、私達の唯一の救いとなるのです。現実は、癌と診断されてるとその時点ではその価値がご理解頂けません。何年も経過してご理解頂けるでしょうが、それは治療した施設に感謝されるのかもしれません。
今日、患者様に言われた事の一例です。先週、7㎜のものに吸引細胞診を行い導管上皮細胞(良悪性の判断に使う細胞)の採取が少なく、判定不能となった方がいらっしゃいました。(正直、数㎜程度の物を狙う場合、ターゲットの硬さなどにより、このような結果になる事もあります。しかし、診断を期待されていらっしゃった以上は、経過観察で誤魔化す訳には行きません。)判定不能の為、再検する事か経過観察を行う事申し上げると無料で再検査を行えないかとの事です。保険診療の自己負担分を無料にすれば、これは法律違反となります。つまり、全額負担になる訳です。その場合は病理診断に掛かる経費も負担になり、相当額の損益になります。初回に細胞が取れない時、無料で行える程の利益はありません。お節介をし過ぎたのかと反省しています(笑)。
余談が長くなりましたが、乳腺の検査は医療機器・診断する医師・病理医・放射線技師により全てが決まるとお考えになられると良いでしょう。一つが優れていても、結果は得られない事になるでしょう。
やはり、機械のよさも大事なのですね。
一度、ベルーがさんで診ていただいて、安心しておきたい気持ちになっています。
夏になると時間が取れますので、どうぞよろしくお願いいたします。
ご来院の際は、こちらこそ宜しくお願い致します。
いつも、掲示板で勉強させていただいています。
久しぶりにインフォメーションを見たところ、非触知乳癌が多く発見されていますとありました。
私は非触知乳癌だったのですが、非浸潤癌でした。非触知でも浸潤癌であることもあるのでしょうか?
仮に、局所再発があったとして、非触知のうちに見つけることができれば少しは安心かと思っていたのですが、そうでもないのでしょうか?