骨転移について
ご投稿有難うございます。
StageⅠの乳癌でも生存率は100%ではなく、多くは90%以上です。つまり、転移が生じる確率が低いだけで、ないと言う意味ではありません。当然、Stage0の非浸潤癌ではないので、StageⅠの乳癌でも骨転移は起こっていても不思議な事ではありません。
当院でも1㎝以下の小さな乳癌で発見し手術された方が、術後半年で多発骨転移となり、多臓器への転移を起こし亡くなられた方もいらっしゃいます。必ずしも乳癌は小さいから治癒するとは限らないし、逆に大きいから治癒しないとは限りません。小さい乳癌の方が単に治癒の確率が高いだけで、Stageは目安に過ぎません。
骨シンチは外傷等でも陽性反応が見られます。外傷等での軽度の集積が見られたので、このような質問があったと思われます。尚、もし陽性反応が見られても、MRIでその部位を確認しないと骨転移とは言えません。
骨シンチの検査を理解されていないようなので記載します。骨シンチは、乳癌の治療では骨転移を検出する為に行われる検査です。放射線同位元素テクネシウムで標識した薬剤は静脈注射すると、骨代謝亢進部位に取り込まれます。この性質を利用し、骨転移などで骨溶解が起こっている部位をシンチレーションカメラで検出する検査です。但し、転移に特異的ではなく、骨新生が亢進している部位を検出する為、骨折や外傷でも陽性になることがあります。また、尿排出される為、腎盂や膀胱などにも集積します。乳癌術後の定期的な検査としての有用性を示すエビデンスはありませんが、骨転移治療薬を含めた薬剤の進歩によって、骨転移を早期に診断して治療することにより、病的骨折によるQOLの低下を防ぐなどの有用性は考えられます。
乳癌の検査や治療をお受けになる時は、その検査や治療がどのようなものかを理解してお受けになる事が大切です。不確かな知識は、不安になるだけです。ネットや患者会等で他人の体験談などを参考にされる方が多いように思いますがこれは利益が少なく、大切なのはその検査の意味や治療の正しい知識を吸収する事が一番の安心に繋がります。
充実腺管がんの疑いを指摘されてからというもの、
気持ちが落ち着く事はなく、夜中乳癌に関するネット上の情報を読みあさって参りました。
先生のコラムも沢山拝見させていただきました。
しかし恥ずかしながら、骨転移の心配まで、まだ考えが及んでおりませんでした。
(骨シンチは形式上行うだけだと言われていた事もありまして・・・)
不安な要素は沢山ありますが、ひとまず
コラムにもあった「初発乳癌への必要性が疑問視されている程に骨シンチで転移が見つかる可能性は低い」事と、先生の
> 骨シンチは外傷等でも陽性反応が見られます。外傷等での軽度の集積が見られたので、このような質問があったと思われます。
という言葉に励まされて、診断までの時間を落ち着いて過ごそうと思います。
このたびは、丁寧かつ、分かりやすい説明を頂きありがとうございました。
たくさんご教授を頂きましたこと、心より感謝致します。
御丁寧なお返事有難うございます。
先日、右の胸に1センチ未満のしこりが見つかり、細胞診断でレベル5の診断を受けました。
以来、MRI(しこりだけが白く出ていました)、リンパ節へのエコー(異常なし)、バコラ生検(結果待ち)、と検査を繰り返して参りました。
主治医からは、未だ乳癌と断定をされておらず、乳癌だとしてもステージⅠで、広がりもないので温存手術を行う事になるだろうと説明を受けています。
今回お伺いしたいのは、本日行った骨シンチについてです。
検査中、担当していただいた技師の方に、「右手の力こぶができるあたりをどこかにぶつけたでしょ?」っと聞かれました。
とくに、思い当たる事はありませんでしたが、「何か悪いものが写っているのですか?」とお伺いしたところ、「ぶつけたように見えましたもので・・・」と言われました。
もう少し具体的に聞きたかったのですが、診察ではないので、これ以上は詳しく話せないとのことでした。
帰宅した後、「骨シンチ」についていろいろと調べてみたところ、
聞かれた言葉の意味を理解して一気に不安が募ってきました。
乳癌、骨、共に、自覚症状は全くありません。
私のような病状の者でも、いきなり上腕骨へ骨転移するという事は考えられますでしょうか?
次の診察が、10日後となりますため、不安で落ち着きません。
情報が曖昧で申し訳ないのですが、少しでも先生のご見解をお伺いできますと幸いです。
何卒よろしくお願い致します。