高齢出産は危険ですか?
ご投稿有難うございます。
高齢出産がリスクとなるのは初産のみを指します。不妊治療を行われなければ二人目以降はリスクとはなりません。また、流産が乳癌のリスクとなる事はございません。但し、乳腺症が存在する方の方が乳癌には成り易いのはありえます。ただ、乳腺症が癌化するのではありません。
同じ部位に3回もマンモトーム生検を行うのは無駄以外なかったのではないかと思います。良性疾患が悪性化する事は極めて稀です。
今後は正しい人に聞いた知識ではなく、エビデンスに基づく正しい知識を持たれる事を望みます。尚、医者の話も結構嘘が多いので注意が必要です。
早速のお返事ありがとうございます。
3回マンモトーム生検をしたのは無駄だったのですね。
2回目の検査は、授乳中に検診を受け、乳腺症と指摘された部位のしこりの形が変わっておりました。一般の検診センターで受けたので前回との比較ができず、しかも「きっと虫の知らせだね」「もう少し遅かったら手遅れだったかもしれないね」とひどく脅かされ、癌にほぼ間違いないので要生検と言われました。慌てて一度目の生検をした専門医に走り、「位置的に前回の乳腺症に間違いないとは思うが形が変わっている以上は…」と医師に言われ、疑いを晴らすために検査しました。その時に癌になるリスクについて尋ねたところ、私の場合乳腺症のサイズが大きいので、その中に癌ができた場合に分かりにくいと言われました。乳腺症で時々胸が痛むので、3回目はその数年後に私の不安を解消するために私の方からお願いして受けたものでした。
重ねてお尋ねしてもよろしいでしょうか。
私は32歳が初産年齢ですが、現在は「高齢出産」は36歳からと言われていますよね。先生のコラムには30歳以上がリスクを上げる要因になるとあるので、32歳はやはりリスクを高めていると理解するべきですか。
また不妊治療を行った約半年間、経口排卵誘発剤や注射による排卵誘発剤などホルモン療法を受けました。途中生理周期を整えるために行ったホルモン療法もふくめると7〜8周期治療したことになります。途中休憩した周期も数カ月あったので1年にならないくらいの期間不妊治療の専門病院に通いました。
タイミングでの治療のみで、人工授精や体外受精はしていませんが、34歳〜35歳の頃です。治療をやめた途端の自然妊娠で2人目を出産し、その後3人目については不妊治療は受けていません。
このような治療歴もやはり乳がんのリスクを高める要因になってしまいますか。
不妊治療を受けてしまったことを今はとても後悔しています。授乳することでリスクを下げることができると知り、子ども2人とも、1年から1年半必死におっぱい育児を頑張りました。
乳がんのリスクと3人目…40歳を過ぎて乳腺症持ちの私には本当に難しい問題です。もちろん今後も、最悪でも早期発見できるように、検診はしっかり受けていきたいと思いますが、この地域には信用できると言われている専門医が大きな病院にしかおらず、そういった病院では残念ながら定期的に検診を受けられるシステムが整っていないのです(紹介状がある場合のみ…つまり何か疑いがあって初めて診てもらえます)。
東京まで飛んで先生に診てもらおうかと考えますが、小さな子供を抱え、なかなか実現できずにおります。
先生にアドバイスを頂いても、最後は自分で決断しなければならないのですが、下の子ももうすぐ5歳です。産後5年以内の発病をクリアすれば、発病した場合の予後に関してのみですが少し安心度も増しますよね。今目の前にいる2人の子ども達のために精一杯生きていく道を選択するのも間違っていないのではないかと考える今日この頃です。
長々と書いてしまいました。お時間を取らせてしまい申し訳ありませんでしたが、質問にご回答いただけたら幸いです。
ご丁寧なお返事有難うございます。
32歳は厳格に言うとリスクかも知れませんが、現在の高齢出産は35歳以上なのであまり、気にするリスクではないかと思います。それよりも、不妊治療によるホルモン剤投与はリスクになると思います。この影響は生涯に置いてのリスクです。
産後5年以内は乳癌のタイプに限らず予後が悪い特殊な時期だけで、それを乗り越えれば予後に安心度が増すとは言えません。全て乳がんの悪性度によるのでお間違えなく。
お忙しい中ご返答ありがとうございました。
不妊治療を受けたことはやはりその期間に関係なくリスクを高めてしまうことになるのですね。
あの時は本当に2人目が欲しくて盲目的になっていたので…いまさら後悔しても仕方ありませんが、今後しっかり検診を受けることを務めていきます。
予後の良し悪しは産後何年で発症したかではなく、悪性度によるものなのですね。勉強になりました。
ふと思ったことなのですが、ホルモン療法というのは、更年期の女性が受ける治療などでも行われるものですか?
私の母は更年期障害による体調不良で婦人科を受診して、薬を飲んでいます。その薬がどんな薬なのか確認はしていませんが、たしかホルモン剤による治療もあったように記憶しています。
私も年齢的にそう遠くない話ですので、お尋ねしたいのですが、更年期障害の治療でホルモン剤を使用した場合、それも乳がんのリスクを高めることになるのでしょうか。
もしそうであれば、母にも助言したいと思います。
3人目のことは、私が抱えているリスクを踏まえて主人とよく相談して決めたいと思います。
最後まで質問して申し訳ありません。よろしくお願い致します。
ご丁寧なお返事有難うございます。
更年期に対する代表的ホルモン補充療法であるHRT療法に関する大規模試験の結果乳がんのリスクが明らかになりました。
〔シカゴ〕ロサンゼルス生物医学研究所(LA BioMed,カリフォルニア州トランス)のRowan T. Chlebowski教授らは,女性健康イニシアチブ(WHI)に参加した閉経後女性を11年間追跡した結果,エストロゲンとプロゲスチンを併用したホルモン補充療法(HRT)が浸潤性乳がんの発症率上昇に関連しており,HRT施行群では乳がんによる死亡率も高いことが分かったとJAMA(2010; 304: 1684-1692)に発表した。
WHIの追加追跡で検討
WHIのHRTに関するランダム化プラセボ対照試験は,エストロゲンとプロゲスチンの併用によるHRTの有用性を検討するために1993年に開始された。全米40施設の子宮摘出を受けていない閉経後女性(50〜79歳)1万6,608例を対象に,結合型ウマエストロゲン0.625mg/日と酢酸メドロキシプロゲステロン2.5mg/日の併用群(HRT群)またはプラセボ群にランダムに割り付けた。
当初,2005年の終了が予定されていたが,乳がん,冠動脈疾患,脳卒中,肺塞栓症のリスク増大の恐れがあることから2002年に中止された。平均介入期間は5.6年,平均追跡期間は7.9年であった。しかし,Chlebowski教授らによると,長期のHRTによる乳がんの発症や死亡への影響は明らかにされておらず,臨床的意義を有する問題は未解明のままであった。
長期HRTでリンパ節転移増加
そこで,Chlebowski教授らは今回,同試験の参加女性のうち追加追跡に同意した1万2,788例を対象に,2009年8月まで追跡した長期データ(平均11年)を用いて浸潤性乳がんの累積発症率と死亡率を解析した。
追加追跡に同意しなかった参加者を除外した全参加者のintention-to-treat(ITT)解析の結果,浸潤性乳がんの発症数はHRT群の385例(0.42%/年)に対し,プラセボ群では293例(0.34%/年)と有意差が認められた〔ハザード比(HR)1.25,95%信頼区間(CI)1.07〜1.46,P=0.004〕。また,HRT群ではプラセボ群に比べてリンパ節転移陽性乳がんが有意に多かった〔81例(23.7%)対43例(16.2%)〕。
さらに,乳がんによる死亡もHRT群ではプラセボ群に比べて多かった〔25例(0.03%/年)対12例(0.01%/年)〕。これは,女性1万人当たり年間2.6例(HRT群)と1.3例(プラセボ群)の死亡に相当する。乳がん診断後の全死亡についても同様の結果が得られ,プラセボ群の31例(0.03%/年)に対してHRT群では51例(0.05%/年)であった。
同教授らは「これまでの複数の観察研究で,HRTは乳がんリスク増加に関連しているが,それらの乳がんの特徴は良好でステージも低く,生存期間も長いとされている。しかし,今回のランダム化比較試験ではHRTが乳がんリスクの増加と関連しているだけでなく,HRTにより乳がんの検出が妨害されて進行した段階での診断につながることが示唆された」と指摘。「今回の長期にわたる追跡の結果では,HRT群で統計学的に有意な乳がんの累積的増加が認められ,リンパ節転移も多かった。HRT群で認められた乳がんによる死亡率の増加は,乳がんの発症率と進行段階に及ぼす影響により合理的に説明できる」としている。
以上から,同教授らは「米国ではWHIのHRTに関する試験の最初の結果報告後に乳がんの罹患率が大幅に低下したが,これはこの結果を受けて閉経後女性のHRT利用が著しく減少したためである。今回,エストロゲンとプロゲスチンの併用が乳がん死を増加させることが明らかになったことで,今後,米国の乳がん死が減少する可能性もある」と述べている。
閉経後HRTの施行に注意
スローン・ケタリング記念がんセンター(ニューヨーク)のPeter B. Bach博士は,同誌の付随論評(2010; 304: 1719-1720)で「現在,入手可能なデータから判断すると,HRT施行への現アプローチには注意が必要である。今回のWHIのデータからは,HRTによる長期の健康影響を推測するための情報が十分ではないことが分かった。更年期障害緩和のために短期間のHRTを行う臨床医は,この方法が厳密な臨床試験で証明されていないこと,また患者に及ぼす負の影響の程度がはっきりしていないことを認識すべきである」と指摘し,確立したエビデンスが不足した中でのHRT施行に注意を促しています。
先生、ご丁寧なご返答ありがとうございました。
一字一句読み落とさないように読みました。
聞き慣れない言葉もあり、きちんと理解できているか自信がない部分もありますが、更年期障害に対するHRT療法が乳がんのリスクを高める危険なものだということはよく分かりました。
母がそのような治療を受けているかをしっかり確認し、もし受けていれば母と話し合った上ですぐに止めさせたいと思います。
これは私の個人的な意見ですが、例えば生理不順などの治療でもすぐにホルモン剤を処方する医師がいますが、漢方薬や食生活の改善などでも十分に対応できるのではないかと思っています。更年期障害に対しても同じことが言えるのではないかと思うのですが…間違った考えでしょうか。
今回は先生にたくさんのご助言を頂き、本当に感謝しております。
ありがとうございました。
ご丁寧なお返事有難うございます。
ホルモン剤はメリットとデメリットの差を比べ、メリットがデメリットを上回る場合のみ使用ですものです。他で代用可能な場合は使用しないと言う認識でお願い致します。
40歳です。
32歳、35歳で出産し、現在2人子どもがおります。
子どもは3人欲しいと頑張ってきましたが、まだその夢はかなっておりません。34歳、37歳、40歳(双子)で流産の経験があります。すべて自然妊娠です。
1人目の出産後(33歳)の乳がん検診で直径2センチ弱のしこりが見つかり、マンモトーム生検を受け、結果は良性で乳腺症と診断されてから、定期的に健診は受けています。現在までに3回同じ個所のマンモトーム生検を受け、結果はすべて良性で変わりません。
両方の乳房に石灰化もあり、MRI検査を受けたこともありますが、今のところ経過観察ということになっています。
2人目不妊で34歳の時に半年ほど不妊治療をした経験がありますが結果は出ず、さらにホルモン治療のリスクを考えてやめました。
3人目が欲しいという夢が諦めきれず、かと言って不妊治療をするつもりもないので、あくまで自然に授かったらいいなと思っています。
ただ、乳腺症のことや3回の流産、そして32歳が初産ということを考えると、これからの妊娠・出産は無謀なのかと悩んでしまいます。
私のように、石灰化や乳腺症があったり、妊娠しても流産を繰り返したりすると、正常な妊娠・出産をしている人よりもホルモンの変動が激しく乳がんのリスクを上げることになるのでしょうか。
一度中絶をした友人に、妊娠を無理に途中で中断すると乳がんになりやすいと聞いたことがあり、妊娠が途中で中断するという点では流産も同じ経過を辿ることになるので、これから3人目なんて遠い夢なのかと…。
リスクばかりを見て悩んでいても意味がないと分かっているのですが、もしもとんでもなく無謀なことを考えているとするならば、踏ん切りをつけて諦めなければと考えています。
お忙しいと思いますが、先生のご意見をお聞かせいただけないでしょうか。
よろしくお願いいたします。