富永先生
ご投稿ありがとうございます。
現状のデーターからは検診は25歳以上が適切かと思います。ここ数年は25歳以上と言ってます。乳がんの家族歴がない場合は30歳からでも問題ないかもしれません。そこは難しい所です。マンモグラフィに限定してはいけません。これは検診自体を行わないことを言ってます。尚、エコー単独検診をするくらいならば、マンモグラフィを必ず併用すべきです。尚、マンモグラフィは危険とは言ってません。若年者は乳癌リスクとなる可能性があると言う報告があると言っているだけです。明らかに危険と言うエビデンスもありません。また、逆に検診を受けていない方は乳がん発症の場合は命を失うというリスクも背負って頂く必要も出ます。どっちを取るかはそれぞれの方がご自身の自由と言う事も忘れないで下さい。ここ最近、被曝だけに過剰反応しておられる方が居られますが、その前に利益と不利益の点をよくお考え頂きたいと思います。被曝は若い方だけの問題ではありません。一番大切な事は、安易に検診を受けるのではなく、必ず無益に精密検査にならない検診を受けることで最少量の被曝で済むと言う事が重要です。賢い人はそこがよくお分かりになると思います。
尚、1回のマンモグラフィー検査での被曝線量は0.05mSv~0.15mSvで、マンモグラフィの撮影で受ける放射線の被ばく量は、飛行機に乗って東京からサンフランシスコへ行くときに機内で浴びる自然放射線(宇宙からの放射線)と同じ量だから、体には影響はないと言うだけで、乳癌発生の原因とはならないと言う事ではありません。最近の論文ではマンモグラフィでの被曝による乳癌発生の危険性を述べているものが見られます。被曝量が少ないので安全と言う医療機関は安易な検査を施行している可能性があるので、そういう医療機関には受診を避けた方が良いでしょう。
先生のおっしゃる若年者とは何歳までですか?
マンモグラフィの乳がん発生の危険性が述べられている論文とはどのようなものなのか教えていただくことはできますか?
ご丁寧なお返事ありがとうございます。
一般的に30歳未満を若年者と言われてます。
論文は色々あると思います。若年者の被曝での乳癌リスクを述べてます。若ければ若い程リスクが高くなるというものが多いと思います。どのデーターも大規模試験をした結果ではないので、正直どうなのかは分からないと思います。ただ無暗に検査をするのは辞めた方が賢明だと思います。
なぜ先生は25歳からの検診をすすめているのですか?
20歳と言っていたのを25歳に変えた理由を教えてください。
ご丁寧なお返事ありがとうございます。
25歳未満の乳癌は稀なこと。25歳以上で急に乳癌が増え、しかも非浸潤癌で発見できる事が多いことで生存率が上がる利益があること。しかも、家族性乳癌が海外のガイドラインで25歳以上で年1回マンモグラフィとエコー検査が推奨されていること。以前は若年者の被曝のリスクはあまり言われてませんでした。ガイドラインも毎年アップデートされるように、我々も方針は変更します。リスクを重視して、現段階では25歳未満の生存率アップは諦めると言う方針で、正確に言うとメリットよりデメリットの方が上回ると言う事を重視しました。また、当院は1回のマンモグラフィー検査での被曝線量は0.05mSv~0.15mSvなので、自然放射線被曝と同じと言う言葉で受診者に安心を与えることは辞め、エビデンス重視で診療をしてます。ピンリボン運動団体も全て、このような曖昧な言い逃れでで乳癌検診を勧めてます。尚、年齢が上がっても被曝のリスクは若年者よりは少ないですが、リスク自体はあるので勘違いのないように。
二方向マンモグラフィによる片側乳房被曝量はデジタルマンモグラフィで3.7 mGy、アナログマンモグラフィで4.7mGy。40歳から49歳から74歳まで隔年で3.7mGy被爆すると10万人あたり59.0人の乳がんが発生し、7.6人が乳がんで死亡します。その一方で検診による早期発見で乳がん死を87人減らすことができるので、メリットが上回るので施行した方が良いというエビデンスに基づき検診を施行されてます。これを必ず理解して検診を受けて頂きたいと思います。
私の場合将来乳がんになるリスクをどれくらい上げてしまったと考えますか?
ご丁寧なお返事ありがとうございます。
上がったか上がってないかも全く不明です。
1回のマンモグラフィで10万人中何人が乳がんになる可能性があるのかはわかりますか?
ご丁寧なお返事ありがとうございます。
そういうデーターはありません。また、そういうデーターを調べても価値がないので誰も調べません。また、そのような危険を伴う臨床試験もしません。
被曝のリスクがあっても、マンモグラフィを施行しないでエコー検診をするのは根拠のない検診になるので、被曝のリスクより危険です。
最後に、僕は基本的にはマンモグラフィを若年者も施行した方が有益と言う考えには変わりません。これは以前日本乳癌学会のシンポジュウムでも発表してます。ただリスクも伴うと言う事を述べてます。
私は現在26歳ですが、これからも1年おきにマンモとエコーを併用した検診をうけるべきでしょうか?
ご丁寧なお返事ありがとうございます。
任意型検診はご自身のご希望で決めることなので、どうとは言えませんが、25歳以上は受けた方が利益はあると思います。ただ精度の相当高い検診を受け、精度の低い検診は辞めた方が良いでしょう。
以前から先生の記事等読んできました。
尊敬しています。
知人が乳がんになったこともありますが、先生の20歳になったらマンモグラフィーの検査をするべきという記事を読んでいたので20歳から定期的に検査しています。
これはかえって危険な事だったのですか?
失礼な事を言っているのは承知しております。
ですけれど先生の回答をお願い致します。