治療終了から5年が経ちました
貴重な体験談ありがとうございます。
まずは5年無事おめでとうございます。
この体験談で大切な事をまとめます。
(1)診断はその方の命を左右します。診断を安易に考えて、大学病院やがん専門病院が信用できると思い行かれても、そこには診断の専門家は居ないです。しかも、診断を専門とする医師は国内でも非常に少ないと思います。その中でも匠の技と言われる者は極僅かです。
(2)乳癌検診はマンモグラフィは必須項目になり、エコー単独は乳癌検診のガイドラインでは信憑性がないとされ、推奨されてません。エコー単独の検査を受けるなら、検診は受けない方が不利益を被りません。
(3)乳癌は基本的にしこりのあるタイプでも自分で触れるにはある程度進行したサイズではないと触れません。当然、非浸潤はしこりが形成される手前なのでしこりなどありません。
(4)知識をない人や間違えた情報、一部の知識しか見ない人は大きな不利益を得る可能性があります。
以上がこの体験談から得られるポイントです。
富永先生、ご無沙汰しております。
2009年10月に貴クリニックでDCISの診断との診断をいただいた、福島と申します。まずは、長文をお許しください。
その節は大変お世話になりました。ご紹介いただいた大学病院でその年の11月に手術を受け、術後の組織検査で広がりが7cmのコメド型の非浸潤がんであるとの診断を受けました。
本日、その大学病院で治療終了後5年の検査を受け、今のところ転移も再発も見られないので、今後は年1回のマンモグラフィーのみで良いと言われました。これも先生から的確な診断をいただき、速やかに病院の予約を取っていただいたおかげです。本当にどうもありがとうございました。
思えば、私のケースは幸運に恵まれました。
当時は満足のいく条件での転職が決まり、今までおろそかにしていた定期健康診断を受ける余裕がやっとできたときでした。健康診断専門のクリニックで、乳がん検診としてマンモグラフィーとエコーのどちらかを選択するようにといわれたのですが、2つの検査の違いを尋ねた私に、スタッフの一人が、「エコーのほうが痛くないので、そちらを選ぶ人が多いです」と答えました。それならば痛いほうが話のネタになると思い、マンモグラフィーを選択したのです。思えば、しこりのないタイプのがんだった私には、自分のこの気まぐれな選択が第一の幸運でした。
その健康診断の結果に「乳腺石灰化」と書かれても、乳がんではなく、単なる老化であろうと考えていました。親類にがんにかかった者は少なく、乳がんにかかった者にいたっては一人もおらず、また、何の症状もなく、時折セルフチェックをしてみてもしこりなどは感じられないため、自分が乳がんになるなどとは思いもよりませんでした。一緒に働く仲間たちの中には、乳腺石灰化はあるけれど、がんではないと診断されている人もいましたし。
が、次の会社の入社までにはまだ時間もあるし、これも経験だから一度乳腺クリニックで検査を受けておこうと考え、たまたま自宅に比較的近くにあり、そして通勤に使う地下鉄内の広告でその名前を知っていたベルーガクリニックに電話をかけてみました。思えばこれが最大の幸運だったと思います。
手術後、自分が乳がんにかかったことを比較的早い段階で打ち明けた人たちの中に、「胸にしこりがあるので調べてもらったら良性だったが、気をつけている」と話してくれた友人がいました。実は昨年、彼女のそのしこりが、実は悪性のものだったことが判明しました。もはや早期発見とはいかず、治療のフルコースとなったとのことです。彼女のこの話を聞き、きちんとした診断技術のあるところで検診を受けることがいかに大切かを、改めて実感しました。
もちろん全てが幸運というわけにはいきかず、結果的に転職先の内定は辞退しなければなりませんでした。しかし多くのことを学ぶことができましたし、当時の自分のことを思い起こすと、冷や汗が出ます。「全摘手術を受けなければならないのだから、よっぽど悪い状態に違いない」などと考えていた私は、何と無知だったか。そして、どのクリニックで検査を受けても同じ結果が出るはずだと思っていたのは、何と世間知らずだったことか。正確な診断とともに、適切なアドバイスで私の精神的な落ち込みを最小限にとどめてくださった先生には感謝してもしきれません。
最後に、触診というものが、しこりのないタイプの乳がんにはいかにあてにならないものかを実感した体験を、記しておきたいと思います。
紹介いただいた病院に手術を控えて入院した日に、病棟の看護師が二名やってきて「よろしければ、勉強のために胸を触らせてください」とお願いされました。わたしは彼女たちの職務経験のために、喜んで胸を開きました。この看護師たちにとって、乳がん=しこりというイメージだったようです。彼女たちは必死になって私の両胸を触り、なんとかしてしこりを探しだそうとしてかなり長い間私の胸を触り、ついに一人が胸の一ヶ所を押さえて、「あった! これ! これがしこりですよね!」と勝ち誇ったように声をあげました。
彼女が触っていたのは、実は健側の肋骨でした。